軽量軌道の新モビリティ「アーバンループ」、パリ五輪で提供へ

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ナンシー空港で5月28日、軌道上を走る軽量車両「アーバンループ(Urbanloop)」の試験運転が行われた。1km走行に要する電力料金0.47ユーロセントという新記録を達成した。
アーバンループは、ロレーヌ大学附属のエンジニア養成機関の学生らが発案した都市交通手段で、10kmのループを構成する軽量軌道上を2人乗りの小型カプセルが走行する。アルゴリズムを用いて全システムを一体的に運用し、任意の2点間の移動サービスを24時間体制で提供する。電力消費を最小限にとどめ、軌道の設営も、工場で製造されるモジュールを組み立てるだけで簡単に行える。また、カプセル1台は400kgと極めて軽量であるため、橋梁なども簡便なもので足りるという利点がある。その商用化を目的に、ロレーヌ大学を主要株主とする株式会社アーバンループが設立された。
試運転にはジェバリ運輸担当相も出席。アーバンループは現在、安全性審査の対象となっており、近いうちに認可を得て、2024年のパリ五輪の機会に乗客向けに提供される。ノワジエル駅(RER)と会場の一つを結ぶ交通手段となり、廃線跡の遊歩道に再整備される。なお、国内のローカル線1万2000kmのうち、4000km程度が廃線となる恐れがあるが、アーバンループ型の交通手段に鞍替えする形でサービスを維持する可能性も開かれる。