下院補欠選挙:従来の力関係を再確認する結果に

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト

5月30日に全国4選挙区で下院補欠選挙の第1回投票が行われた。いずれの選挙区でも、それまでの力関係がほぼ維持される展開となった。このところ上り調子だった環境政党EELVが振るわなかった。残り任期が1年を切ったところでの補欠選挙ということもあり、投票率は極めて低く、最も高かったオワーズ県でも26.4%、最低のパリ20区では15.5%に留まった。いずれの選挙区でも決選投票が6月6日に行われる。
オリビエ・ダッソー議員(共和党)の事故死により補欠選挙の実施に至ったオワーズ県の選挙区では、同じくダッソー一族(戦闘機など製造のダッソー・アビエーションの創業一族)のビクトール・アベール候補(28)が58.4%の得票率を達成、極右RNの候補(15.3%)に大きく差をつけた。本来なら得票率が50%を超えれば当選だが、投票率が低かったため、有権者の25%に相当する得票という条件をクリアできず、決選投票が行われることになった。
健康上の理由で、中道政党UDI所属のオーコニー議員が辞職したアンドルエロワール県の選挙区では、UDIと共和党の統一候補であるメタディエ候補が45%の得票率を獲得し、社会党のリオレ候補(20%)との間で有利に決選投票に臨むことになった。
与党LREM所属のブルギニョン自立担当相が出馬のパドカレー県選挙区では、同相が34.9%の得票率を達成、極右RNのブルジョワ候補(24%)との決選投票に進んだ。同相は2017年の総選挙でこの選挙区から出馬して当選、2020年に入閣したが、その際に補充議員(本議員とペアで立候補して選出され、本議員が閣僚に就任する場合に代わりに議員を務める。辞職した閣僚は議員に復帰できる)が地方議員の職に留まることを選び、議員就任を辞退したことから、補欠選挙が必要となっていた。
パリ20区の選挙区では、社会党所属のエルアラジュ候補が25.6%の得票率を達成、左翼政党「不服従のフランス(LFI)」のシモネ候補(20.8%)の間で決選投票が争われる。