警察官の襲撃事件が再び発生:犯人は死亡、イスラム過激化の精神異常者

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28日に警察署内で警察官が襲撃される事件が発生した。犯人は拳銃を奪って逃走し、数時間後に憲兵隊員らに射殺された。
事件は、ナント市近郊のラシャペルシュルエルドル市(ロワール・アトランティック県)内の市営警察署内で発生。犯人のンディアガ・ディエイ(39)が自家用車に関するトラブルを口実に、同日午前に同署を訪れ、応対に出た婦人警察官(46)を刃物で襲い、手足に負傷を負わせた。犯人は倒れた警察官から拳銃を奪って逃走し、付近の民家で19才の女性を人質にとって2時間余りに渡り立てこもった。犯人は、民家を出た後に、憲兵隊員に向けて発砲、応戦した隊員らに撃たれ、直後に死亡した。犯人の発砲により憲兵隊員2人が負傷したが、犯人以外の死亡者は出なかった。
犯人はフランス国籍で、17才以来で72回の犯罪歴があった。強盗監禁で2013年より2021年まで、8年間に渡り受刑し、去る3月22日に出所したばかりだった。犯人は服役中の2016年に統合失調症と診断され、治療を受けていた。その一方で、同じ服役中にイスラム過激化の傾向を呈したため、過激化の要注意人物リスト(FSPRT)に登録されていた。出所後には担当官の観察下に置かれていたが、犯人は、定期的な面談を受け、治療を受ける義務を履行していた。再就職も果たしていた。
捜査当局は29日の時点で、人質になった女性からの聴取などを経て、テロ事件としての捜査を見合わせることを決めた。女性の証言によれば、犯人にはイスラム過激化をうかがわせる言動は一切見られなかったという。ナント地検は犯行に至る道筋と背後関係を探るために捜査を継続する。