エールフランス447便事故:エアバスとエールフランスの不起訴処分が棄却に

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2009年6月に発生したエールフランス機墜落事件について、パリ高裁は12日、担当予審判事が決めた不起訴処分を棄却する決定を下した。事故機を製造したエアバス社はこの決定を不服として、最高裁に上訴した。
リオデジャネイロ発パリ行きのエールフランス447便の事故では、エアバスA330型機が大西洋に墜落し、乗客乗員228人の全員が死亡した。事故原因の究明調査は難航したが、現在では事故に至った経緯は突き止められている。これによると、高度計(ピトー管)が氷結のために機能しなくなり、自動操縦に切り替わった後に失速警報が出たが、機長休息中の代理を務めた交代副操縦士が適切な対応(機首を下げて速度を回復した後に機首を上げて高度を回復する)を見誤り、墜落に至った。事故原因究明と行政処分とは別に、刑事責任を追及する司法当局の捜査では、2019年に担当予審判事が不起訴処分を決定。これを不服とする遺族団が決定破棄を求める訴えをパリ高裁に起こし、同高裁がこのほど、訴えを認める形で、不起訴処分を取り消した。高裁は、エアバスについては、ピトー管の機能不全の場合の重大性を十分認識していなかった疑いがあるとし、エールフランスについては、ピトー管氷結の際に取るべき対応について、十分な訓練を行っていなかった疑いがあると認めて、不起訴処分を取り消した。裁判が開かれる場合には、両社がそれぞれ、責任が相手方にあると主張する展開になる可能性もある。