「衛生パス」法案、紛糾の末に下院を通過

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下院は5月11日夜、「衛生パス」導入に関する法案を採択した。法案は同日、マクロン政権に協力する中道政党MODEMが反対に回り、一旦否決されたが、政府が法案を修正の上で再審議を請求、最終的に採択された。
「衛生パス」は、ワクチン接種済みなどを証明する書類で、政府は、国内の大規模なイベントの入場条件としてこの証明書を利用する計画を立てている。法案では、6月2日より10月末日までを、医療緊急事態宣言が終了までの移行期間に設定し、この間、衛生パスに基づいた入場制限を適用できる旨が定められていた。これに対して、MODEMは、自由の制限が継続される期間が長すぎると主張し、法案に反対票を投じた。最終的に、政府は、MODEMの要求に沿って、期間を9月末日にまで短縮することを受け入れて法案を修正し、再審議を請求した。MODEMも2回目の投票では賛成に回り、法案は採択された。
MODEMは、マクロン大統領の与党LREMがこのところ保守勢力との接近を図っていることを強く警戒していた。今回の法案審議であえて反対に回ることで、影響力を誇示する狙いがあったものと考えられる。