フランス:環境保護・気候変動対策を盛り込む改憲、実現が疑問視

上院は10日、気候変動対策を憲法に盛り込むための改憲法案の本会議での審議を開始する。小委員会での審議では、法案に重要な修正が追加されており、予定通りに年内に国民投票を行うのは絶望的な情勢となっている。9日には、マクロン大統領の公約違反を訴えるデモが、環境派の主催により各地で行われた。
環境保護・生物多様性の維持と気候変動対策を憲法に折り込むという措置は、マクロン大統領が設置した気候市民会議の提案の一つであり、大統領はその実現を約束していた。憲法改正には、上下院が同じ文言で採択した改憲法案について、国民投票を実施するか、両院合同会議を招集して議決するか、2つの方法がある。大統領は国民投票の実施を約束していた。いずれにせよ、上下院が同じ文言で法案を採択することが実施の条件となるが、保守派が過半数を握る上院は、下院を通過済みの政府案では制約が強すぎると判断し、その修正を提案。政府案は「環境と生物多様性の保全を保障し、気候変動の対策を進める」となっているが、上院は、「環境と生物多様性を保全し、環境憲章(2005年に採択)が定める条件に即して気候変動対策のために行動する」という修正案を提出。政府案より弱い内容の規定となっている。
マクロン大統領は、国民投票の実施は断念されたわけではなく、国会による審議の段階にあると説明しているが、保守勢力は、大統領はもともと自らが望んでいなかった改憲を、野党のせいにして放棄しようとしている、と批判。環境派は、できもしない約束をしたのは大統領の責任だとして、大統領を攻撃している。環境派が9日に全国160ヵ所余りで行ったデモには、警察発表で合計数万人が参加した(主催者側発表では11万5000人)。