2021年5月4日 編集後記

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今年は英領北アイルランドの創設100周年に当たる。英国の支配下にあったアイルランドが、1920年のアイルランド統治法で自治を認められ、翌1921年にアイルランドが南北に分割されて、北アイルランドが発足した。この時点ではまだ南北のアイルランドはともに英国領とされ、将来的には再統一される見通しだった。 しかし、独立戦争を経て1922年にアイルランドが独立を実現し、北アイルランドのほうは現在まで英国に帰属したままとなっている。北アイルランドにおけるユニオニスト・プロテスタントとナショナリスト・カトリックの抗争は多数の犠牲者を出してきたが、1998年に和平合意(ベルファスト合意)が成立。安定化に向かっていたものの、英国の欧州連合(EU)離脱で、塞がっていた傷口がまた開いた格好になっている。両勢力の均衡は、人口面でナショナリスト・カトリック側に有利に傾きつつあり、やがては自然にアイルランドの再統一が実現する可能性もあるが、それまでにまた新たな犠牲者を出すリスクも大きい。この100年間とは一体何だったのか?歴史の中の100年間というのは実に短い時間だと感じさせられる。