欧州委員会、観光客の受け入れ再開を準備

欧州委員会は5月3日、夏季の観光シーズンを控えて、欧州連合(EU)の加盟国に対して、欧州医薬品庁(EMA)が承認済みの新型コロナウイルスワクチンの接種を受けた域外からの観光客の受け入れを開始するよう勧告した。また、ワクチン接種の有無とは別途に、新型コロナウイルスの感染が抑制されているためにEUへの渡航が許可される第三国のリストを拡大することもあわせて提案した。フォンデアライエン委員長は「安全に留意しつつ、欧州の観光業を復活させ、国境を超えた友好関係を温めるべき時が来た」とツイートした。
EUは新型コロナウイルス対策として、2020年3月から域外からの不要不急の渡航に対して国境を閉ざしている。しかし、危機発生から1年以上を経て、観光業への依存度が高い一部の加盟国は域外からの観光客の受け入れを再開する構えを見せている。一部の加盟国が勝手に域外から観光客を受け入れてしまえば、シェンゲン領域に参加する他の加盟国への移動を制限することは難しいため、欧州委員会はEU全体で秩序だった観光客の受け入れを進めることを望んでいる。
フォンデアライエン委員長は、1週間ほど前に、ワクチン接種を受けた米国人観光客の渡航を許可することを示唆した。こうした可能性を視野に入れつつ、EUは6月末を目処に、いわゆる「ワクチンパスポート」の導入準備を進めている。
一方、感染が抑制されているためにEUへの渡航が許可されている第三国は、現状ではオーストラリア、ニュージーランド、ルワンダ、シンガポール、韓国、タイの6ヶ国に限定されているが、状況の変化に応じて定期的な見直しが行われている。現行の基準は、14日間の10万人当たりの新規感染者数が25人以下であることだが、欧州委員会はこれを100人以下にまで緩めることを提案している(EUの場合は、平均で420人超)。イスラエルなどが新たに追加される可能性が強い。なお、中国は現行の基準を満たしているが、EUは中国が相互的にEUからの渡航を許可することを条件として要求しており、中国側はこれに応じていない。