仏政府、ボルドー・トゥールーズ間の高速鉄道整備に拠出を約束

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト

カステックス首相は4月27日付で、オクシタニー地域圏のデルガ議長(社会党)とトゥールーズ市のムーダン市長(共和党)に書簡を送り、ボルドーとトゥールーズを結ぶ高速鉄道の整備事業に国が41億ユーロを拠出することを約束した。同路線の実現に向けて大きく前進した。
ボルドー・トゥールーズ路線は全長222kmで、うち55kmがボルドー・ダックス路線と共有される。完成すると、パリからボルドーを経由してトゥールーズに至る路線の所要時間が、現在の4時間10分から3時間10分へ短縮される。建設費用は95億ユーロ程度に上る見込みだが、うち国が41億ユーロを負担すると約束した。同額を関係自治体が負担するが、カステックス首相は書簡の中で、20%を欧州連合(EU)の拠出により賄うべく交渉するとも約束した。
この計画は30年ほど前から取り沙汰されてきたが、マクロン政権は発足以来でその推進に消極的な姿勢を保ってきた。しかし、任期満了を1年前に控えて、国土整備と地方行政に前向きの姿勢をアピールする都合もあって、方針を転じた。地元では、2024年にも着工できると期待している。
政府は、ボルドー・トゥールーズ路線とセットで、ボルドーからダックスを経由してスペインに至る高速鉄道路線の整備を進める方針を示している。また、やはり南仏のモンペリエ・ペルピニャン間の高速鉄道についても段階的整備に意欲を示している。ただ、高速鉄道を運行することになる国鉄SNCFは、新型コロナウイルス危機に伴う財政難もあって、諸手を挙げては歓迎していない。また、高速鉄道に予算をとられて、既存路線の改修などの必要な投資がおろそかになる恐れがあると指摘する識者もある。