マクロン大統領、ナポレオン没後200周年の式典で演説へ

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マクロン大統領は5月5日、ナポレオンの没後200周年に当たり、学士院で開かれる式典で演説を行う。パリのアンバリッドにあるナポレオンの墓地での献花も予定される。
このところは、植民地支配に関係した過去の「偉人」の銅像の撤去を求めるといった抗議行動が盛んになっており、ナポレオンを巡っても、専横的な指導者として批判する声が上がっている。そうした中で、マクロン大統領は、ナポレオンについて均衡ある評価を下す機会にするとの建前を掲げて、記念式典に参加することを決めた。
実際には、ナポレオンを巡る毀誉褒貶は今に始まったものではなく、歴代大統領にも及び腰の対応が目立った。保守派のシラク大統領(故人)も、フランス・アフリカサミットへの出席を理由に、2005年のオーステルリッツ200周年の式典に参加するのを見合わせた。同じく保守派のサルコジ大統領も、ナポレオンのゆかりの地を巡る訪問を側近から進言されたが、従わなかった。積極的にナポレオンの公式行事を行ったのは、ポンピドー大統領くらい(1969年8月15日に生誕200周年の式典を生地のコルシカ島で挙行)である。
ナポレオンが創設し、現代のフランスにまで引き継がれているものは数多い。民法典と刑法典、県知事(行政長官)や市町村首長、バカロレア(高校卒業試験)、グランゼコール(エリート養成校)などがそれである。大統領周辺筋によると、マクロン大統領は、ナポレオン帝政のよいところを受け継ぎ、悪いところを排していったのが共和国の歴史だったという認識に立って、是々非々の態度でナポレオンと過去の歴史に向き合うことが肝心だと訴えるのだという。