フランス政府、EUの財政規律見直しを提案へ

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フランス政府は、欧州連合(EU)の(財政)安定・成長協定の見直しを進めることを計画している。2022年上半期にフランスがEUの議長国を務める期間中に成立を目指す。
安定・成長協定はEU加盟国の財政規律を長らく規定してきた規則で、主に、財政赤字の対GDP比を3%、公的債務残高の対GDP比を60%とする上限を設定している。これまでにも、根拠に乏しい恣意的な規則として批判する意見がエコノミストらから繰り返し出されているものの、これに代わる規則がほかになかったこともあり、格別に重要な規則として取り扱われてきた。新型コロナウイルス危機を理由に、これら規則は2022年まで凍結されることが決まっているが、フランス政府はこれを改正の好機と見定めて、改正に向けた議論を喚起することを決めた。マクロン大統領は以前から、これらの規則の弊害を強調し、見直しに意欲を見せてきたが、ちょうど大統領選が行われる時期と重なるEU議長国期間を利用して、国民へのアピールにもなると見据えて、改正に取り組む考えであるという。
本格的な議論は、ドイツの総選挙(2021年9月)が終わり、新政権が発足してからになると考えられるが、それを前に、首相府下の経済調査機関であるCAE(経済分析評議会)は13日、この問題で覚書を政府に提出した。CAEはこの中で、財政赤字の対GDP比3%という上限を撤廃し、公的債務残高については、各国政府が自ら5年間の期間について評価を行い、目標を定めて、これを自国の独立機関により審査させるという形にすることを提案。さらに、各国の目標を、欧州委員会が共通の手法に基づいて評価し、承認するというスキームの導入も提案した。