アシェット・リーブルのヌリCEOが解任に

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェスト欧州レポート

ラガルデール・グループは29日、出版子会社アシェット・リーブルのアルノー・ヌリCEOの解任を決めた。グループのアルノー・ラガルデールCEOとの対立を経て解任された。
ヌリ氏は2003年にアシェット・リーブルのCEOに就任。アシェット・リーブルは2020年に24億ユーロの売上高と2億4600万ユーロの営業利益(前年比11.4%増)を達成。グループ全体は、トラベルリテール部門が新型コロナウイルス危機の打撃を受けたことから、6億6000万ユーロの純損失を記録したが、その中で業績を支える柱となっていた。ヌリCEOは、傘下の出版各社(グラッセ、ファイヤール、ストック、リーブルドポッシュ、カルマンレビなど)に方針決定の自立性を認める形で経営を行い、社内では支持を受けていた。
解任劇の背景には、ラガルデール・グループの株式を買い進めて筆頭株主となったビベンディ(とそのオーナーの実業家、バンサン・ボロレ氏)とヌリCEOの対立がある。CEOは1ヵ月前に、メディア露出を強めて、ビベンディ傘下のエディティスとアシェットの統合といったシナリオに強く反対する姿勢を表明し、注目を集めていた。ヌリCEOは、アシェットの独立性を守るため、自らLBOに打って出る可能性を検討し、投資ファンド数社と接触していたともいわれる。アルノー・ラガルデール氏は、資産家ベルナール・アルノー氏(LVMHのオーナー)の支援を得つつ、ビベンディとの間で「停戦協定」を探る動きを進めているといい、ヌリCEOが邪魔になったものと見える。そもそも、ヌリCEOが1ヵ月前にメディア戦略を展開したのも、解任が必至とみて最後の賭けに出たのだとする観測もある。
ビベンディが今後、ラガルデールから何を得て手仕舞いにするつもりなのかはまだわからない。ラガルデールには、アシェットのほかに、ヨーロッパ1(ラジオ局)やJDD(日曜紙)などメディア関連の重要資産が残っている。