仏電力大手EDFのベナユン顧客・サービス責任者は3月30日、規制料金(EDFが自由化料金に移行していないユーザーに適用する料金)が今後数年大幅に引き上げられることはないとの観測を示した。引き上げがあったとしても、過去2-3年に比べて小幅なものになると予測、引き下げられる局面もありうると述べた。責任者は、規制料金を構成する要素のうち、送配電網使用料金が送配電網への投資を反映して押し上げ要因となりうること、電力卸売価格の今後の推移が不透明であることを指摘する一方で、省エネ証書制度(CEE)の規模が制限されたことや、CSPE(電力公共サービス負担金)が引き上げられない見込みであることから、今後数年規制料金の上昇はないと予測している。
規制料金のうち「ブルー料金」は2020年時点で1MWhあたり191ユーロとなっており、2010年の128ユーロから49.2%上昇した。これは、風力や太陽光発電の増加に伴い送配電網への投資が増加したことや、増税、発電や保守コスト、燃料価格などを含めた電力供給コストの上昇が理由となっている。ただしEDFは、フランス以外のユーロ圏における平均の電力料金が2020年時点で1MWhあたり238ユーロとフランスよりも割高である点を強調。また2010年以前、1996-2008年にかけてブルー料金が低下したことから、2021年の水準は1996年の水準よりも実質的に低いと説明している。
なお、EDFはエネルギー市場開放に伴ってユーザー数を減らしてきたが、グルドリエ個人市場責任者は、こうした状況が2021年に底を打つと予測。2022年から電力、ガス、サービス事業においてユーザー数を上昇に向かわせるとの目標を掲げた。2023年には、電力自由化料金のユーザー数300万、ガス小売市場での市場シェア25%(現在は16%)、サービスの契約数倍増を目指す。