仏イスラム教評議会(CFCM)で内紛が表面化している。加入4団体が21日に、脱退して別組織を立ち上げると発表した。
CFCMは2003年の設立。フランスにおけるイスラム教では、関係が深い外国のイスラム教組織の系列に属する団体が並立しており、それらの相互の関係は以前から波乱含みだった。CFCMは、イスラム教界の統一的な代表組織を求める政府の要望により発足したという経緯があるが、最近では、マクロン政権が「イスラム分離主義」対策の実施においてCFCMに協力を求めており、これに対する対応がきっかけになり、対立が表面化した。
脱退を宣言したのは、CFCMに加入する9団体のうち、パリ大モスクを率いるFNGMP(アルジェリア系)、MF(旧UOIF、ムスリム同胞団系)、RMF(モロッコ系)、FFAIACA(アフリカ諸国・アンティル諸島)の4団体。これらの団体は、政府との間で結んだ「イマーム憲章」への調印に条件をつけて抵抗しているトルコ系の2団体(CCMTF、CIMG)が、同憲章実施の調整役となる教誨師全国代表の選出に参加するのはおかしいと主張し、脱退を宣言した。ただし、これは表向きの理由で、実際には、CFCMの会長を務めているモハメド・ムサウイ氏(モロッコ系)と4団体の間の関係が悪化していることが大きいとみられている。ムサウイ氏は、CFCMに加入するフランスモスク連合の会長を務めており、団体間の主導権争いが本格化しているという。このままだと、政府は、過激派対策におけるパートナーを失うことにもなりかねない。