パリ首都圏含む16県の外出制限、政府が緩和措置導入で混乱も

パリ首都圏(イルドフランス地域圏)を含む16県では20日より、追加の制限措置が導入された。制限の内容について、政府は20日になって当初発表を修正し、混乱した状況が生じている。
政府は当初、対象16県において、外出時には自己申告型の証明書の携行を義務付けると発表していた。しかし、制限の内容が分かりにくいという批判の声が上がり、政府はその「簡素化」を発表した。具体的には、自宅より半径10km以内の移動であれば、証明書を不要とし、取締りにおいては身分証(又は住居証明)の提示を求めることとした。半径10kmを超える移動については、自己申告型の証明書の携行(事由により他の証明書の携行も必要)が義務付けられる。これは日中の場合であり、他の地域も含めて全国的に適用が続いている夜間外出禁止期間(19時より6時まで)については、従来と同様に、自己申告型の証明書の携行が義務付けられる。
政府はまた、16県における商店の営業禁止措置にも多少の緩和を認めた。具体的には、理髪店・美容院に加えて、花屋、チョコレート販売店、革修理業は営業継続が認められた。また、自動車販売と不動産売買も、予約客について受け入れが認められる。
政府は、今回の制限措置について、「ロックダウン」という言葉を用いるのを嫌い、これが混乱を招く一因になったと考えられる。マクロン大統領が「ロックダウンを極力回避する」ことを目標として掲げてきただけに、再ロックダウンは大統領の個人的な敗北を意味しかねないことから、政府は極力、いかに今回の制限措置がこれまでとは違う柔軟なものであるのかを喧伝しなければならなくなった。これが分かりにくい発表を招き、かえって国民のいら立ちを高める結果になった。
これと関係して、政府は19日午後より、アストラゼネカ社製のワクチン接種を再開したが、仏保健当局の勧告に従い、55才以上の人のみを対象にするという制限を加えた。これは、これまでに報告されている稀な血栓症の発生例が、55才未満の特に女性に偏っていることを踏まえた決定となっている。アストラゼネカ社製のワクチンは、これまで50-74才で健康上のリスクが高い人を対象に接種されてきたが、50-54才で1回接種のみ終了している人の扱いをどうするかについてはまだ決まっていない。なお、アストラゼネカ社製のワクチンには再び入荷遅れが出ており、4月半ばまでに1000万人の接種実現という目標の達成が困難になる恐れもある。