欧州医薬品庁(EMA)、アストラゼネカ社製ワクチンの接種継続を勧告

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アストラゼネカ社製の新型コロナウイルスワクチンの副反応問題で、欧州医薬品庁(EMA)は18日、血栓症の発生に伴う可能なリスクよりも、接種の便益が上回るとする結論を下した。
EMAは、ワクチンを接種後に血栓症を発症したケースが複数報告されていることについて、ワクチン接種により発症のリスクが全般的に高まることは確認されていないと指摘した。また、特定のロットや工場に関係する問題があるという証拠もないとした。ただし、稀な血栓症の発生例とワクチン接種の間に関係がある可能性は否定できないとし、調査を継続すると予告した。
3月16日までに、英国とEEA(欧州経済領域)加盟国において、これまでに2000万人程度がアストラゼネカのワクチンの接種を受けたが、播種性血管内凝固症候群(DIC)が7件、脳静脈洞血栓症(CVST)が18件、それぞれ報告された。血栓症を全体でみると、その発生率は、これまでの治験及び実際の接種の結果を踏まえて通常に予想される水準と比べて、接種した人においてはむしろ低い。上記の稀な2種の血栓症については、新型コロナウイルス感染症そのものが血栓症を発症させるリスクの上昇を伴うという事情もあって、通常に予想される水準を推定するのが難しいが、コロナ危機前のデータを用いて推定すると、50才未満の人においてワクチン接種から14日間以内に発症する通常の水準は、2000万人程度に対して1人未満と推定されるが、5件が報告されている。CVSTは同じく1.35人が推定されるが、12件が報告されている。50才を超える層では、実際の発生率が高いという状況は見受けられない。
EMAはこれを踏まえて、これらの稀な血栓症についての注意を医療関係者に喚起すると共に、接種者に対しては、一連の症状(息切れ、手首痛・胃痛、腕・脚部のむくみ又は冷え、強い頭痛・頭痛の悪化・めまい、出血、複数の打ち身のような跡の発生)が見られた場合、医師の診察を受けるよう勧告した。