仏競争当局は17日、米アップルがiOS14以降に適用を計画しているプライバシーポリシー(ATT)について、適用を差し止める保全措置の導入を見送ることを決めた。ターゲティング広告業界団体からの訴えを退けた。ただし、一部の案件について、本件審査を行うことを決めた。
アップルの新ポリシーATTでは、端末の広告識別子(IDFA)にアプリのエディターがアクセスするために、ユーザーの許可を必要とする旨を定めている。同意を求めるメッセージが表示され、ユーザーが諾否を決めることができるようになる。ユーザーが拒否した場合、エディター経由で広告ターゲティング業者がデータにアクセスすることができなくなるため、複数の業界団体(Udecam、IAB、MMA、SRI)が、競争当局に新ポリシーを禁止する保全措置を決めるよう請求していた。
競争当局は、CNIL(仏個人情報保護機関)の判断を仰いだ上で、請求を却下した。CNILは、アップルが欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)を上回る内容のポリシーを採用するのは正当であり、アップル側が示した同意を求めるメッセージの文言も中立的な内容であるとの判断を示していた。競争当局は、アップルのこれまでの個人情報保護の取り組みとATTには整合性があると認めた。ただ、競争当局は、アップルが自らのサービスを優遇する形で、競合の締め出しを図っている可能性を調べるため、本件審査を行うことをあわせて決めた。