サルコジ元大統領らを被告人とする通称ビグマリオン事件の公判が17日にパリ地裁で始まる。被告人の1人の弁護士が新型コロナウイルス感染症のため入院したことから、裁判は直ちに休廷となる可能性が高い。本来は4月15日の結審を予定していたが、裁判は5月に延期される見通し。
この裁判では、2012年の大統領選挙におけるサルコジ大統領陣営の不正会計の件が争われる。サルコジ大統領(当時)は劣勢の中で、挽回を狙って大規模な選挙集会を多数開き、選挙資金が法定上限の2250万ユーロを大きく超えた。検察側は、4280万ユーロ以上に達したとみており、これを隠すために、サルコジ大統領が所属していた政党UMP(現在の共和党)に近いPR企業ビグマリオン社を通じて、別の名目の請求書を分散して党に対して発行するという手口で、資金上限内に収まっているように見えるよう偽装していた疑いを追及されている。裁判では、会計担当のラブリユ氏、選挙キャンペーン担当のランベール氏のほか、ビグマリオン社の責任者らとUMPの旧幹部などが被告人となっている。検察側は、サルコジ元大統領については、会計不正に直接に関与していたことを示す証拠を得られなかったことから、「選挙資金不正」の容疑で起訴。上限超過のリスクを知らされていながら費用増を指示し、不正行為による恩恵を受けていた疑いで追及している。この容疑での最高刑は、禁固1年と罰金3750ユーロとなる。