有料テレビ大手カナルプリュス(ビベンディ傘下)が、地上デジタルテレビの放送免許を返上する可能性を示唆している。政府が計画している規制改正により、ネットフリックスなどSVODサービスとの競争条件が著しく不利になると主張し、それならばいっそSVOD事業者に鞍替えすることを選ぶとしている。政府に対して、規制改正の手直しを求めて圧力を行使する狙いがある。
仏政府は、外国のSVOD事業者にも、フランスのテレビ局に課されているのに準じたコンテンツ制作投資の最低限を設定する方向で、制度の改正を準備している。フランスにおける年間売上高の5%相当を、国内における映画制作への投資に振り向けることを義務付ける計画で、6月末日付での導入が予定されている。SVOD事業者はその見返りに、映画作品を封切から12ヵ月後に配信することが認められる見通しとなっている。カナルプリュスは、売上高の12.5%以上を映画制作に投資するよう義務付けられており、有料放送における放送開始は封切から6-8ヵ月後に設定されているが、これでは投資義務の大きさに比して、得られる優位が限定的であり見合わないと主張。場合によっては、地デジ有料局の放送をやめて、プラットフォーム事業に専念することもありうると警告している。
カナルプリュスの主張について、業界関係者からは、SVODの外国勢と対等に渡り合うことを選ぶとしたら、かえってカナルプリュスの不利になるという指摘も出されている。配信開始までの期間設定などについて、有利な条件を政府から引き出すための交渉用のスタンスという見方が根強い。