2021年3月9日 編集後記

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若い人はテレビを視なくなったといわれる。翻って老人のお前はそんなにテレビを視るのか、と問われると、答えに迷う。ニュースには関心があるので、朝から晩までニュース専門局をつけっぱなしにして過ごすことも多く、その場合はほとんどBGMのような感じになっているのだが、それでもフランス語なり英語なりの報道を聞くともなく聞いているせいで、疲労感は強まる。時々テレビを消して、音楽などかけつつ仕事をしてみると、能率も良く、疲れも少ない。ふと気がつくと1週間ぐらい全くテレビをみていないこともある。一番疲れるのは討論番組で、出演者が互いに相手の言葉を遮りつつ自分の主張だけをがーがーと叫んでいる(残念ながら、フランス人の討論というのは9割がたこんな形で進行する) のを聞くと、半時間ぐらいでげんなりしてしまい、その間は仕事の質も低下する。フランス5という国営の文化放送局的な位置づけのチャンネルだと、討論番組もお行儀が良く、司会者に指名されるのを待って発言し、発言内容のレベルも高いのだが、良識的な見解がほとんどで、物足りない感もあるので、毎日視ていると退屈になる。時々は極端な意見で物議を醸して、これはネットでも炎上するなと思わせるような人が登場するほうが面白いのだが、そういう論者は限られているし、出演の頻度が高い人はそれぞれの立ち位置がだいたい決まっているので、言うこともおおよそ見当がついてしまう。そうしてみると、総じてテレビは意外性のない退屈なメディア、という印象も強い。フランス5や、独仏共同の文化放送局的な位置づけのアルテでは昼にしばしば質の高いドキュメンタリー(動物、旅行、歴史など)を放送していて、これを時々眺めつつ仕事するのが一番精神衛生には良いようだ。特に動物もののドキュメンタリーには仕事そっちのけで見入ってしまうこともある。最近のドキュメンタリーで明かされる動物の行動は意外性が大きく、見慣れた人間喜劇の何十倍も面白いのだからしかたあるまい。