2月25日発表のINSEE統計によると、1月の出生数は5万3900人となり、前年同月比で13%の大幅減を記録した。前月の7%減に続いて、減少幅が拡大した。新型コロナウイルス危機が出生数を大幅に引き下げる効果をもたらしたことが確認された。
新型コロナウイルス対策による第1次ロックダウンは2020年3月17日に始まった。妊娠期間を考えるとその影響は12月の中頃から現れる。1月はロックダウンの影響が完全に現れる最初の月となった。この2ヵ月間の推移で、危機が出生を大きく押し下げる効果を及ぼしたことが確認された。出生数はこの数年間で減少を続けており、2019年にも前年比で0.7%の減少を記録していたが、1月の減少幅はベビーブームが終焉した1975年以来で最大という。
外出制限により出生数が増えると予想する向きもあったが、実際には大幅な減少を招いた。過去にも、経済危機に連動して出生数が下がるという現象が確認されており、今回も、先行き懸念から子供を持つ計画を延期する人が多かったことが原因と考えられる。また、第1次ロックダウンの際には、体外受精センターが閉鎖されたことから、その分の減少(2018年の調査によると体外受精は出産の3%に上る)もあった。
フランスは家族手当等が特に手厚い国であり、既に出生数が少ない欧州の近隣諸国(特にイタリア、スペインなど)では、さらに厳しい影響が出た可能性がある。また、危機の収束が遅れていることから、少なくとも2021年中は低調な推移が続く可能性がある。