ASN(仏原子力安全庁)、40年超えの原子炉の運転継続を原則承認

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ASN(仏原子力安全局)は25日、900MW級原子炉の40年を超える運転継続に関する意見書を発出した。40年を超える運転継続を原則として認めて、継続に当たっての条件を定める内容となった。
この意見書の対象となるのは、全国に32基を数える900MW級の原子炉で、これらは国内の8原子力発電所(ビュジェイ、ブレイエ、シノン、クリュアス、ダンピエール、グラブリーヌ、サンローラン、トリカスタン)に位置している。1970年代末から1980年代にかけて建設されたもので、最初の原子炉は2019年から40年超えに差し掛かっている。ASNは、2013年に耐用年数の問題についての検討を開始し、今回、一般的な原則として、40年超えの運転継続が可能であるとする見解を確認、そのために必要な条件について明確化した。個々の原子炉の運転延長については、それぞれ個別の審査が必要になる。
ASNは主に、炉心溶融が発生した場合の影響を軽減できるような安全設計の強化を命令。コンクリートマットの厚さを増やすことなどを求めた。地震や猛暑、干ばつへの耐性を高めるための一連の強化も命じた。さらに、貯蔵プールについては、冷却浄化系の冗長化などの安全性強化を求めた。
ASNは、命じた安全性強化措置のそれぞれを実現すべき日程も設定。これらの措置を実施するための工事に多大な投資が必要になり、また工事を行う技術的な能力の確保も課題になると指摘し、国内のすべての原子力発電所を運営するEDF(仏電力)に対して、相応の努力を促した。安全性強化のための措置を日程を守りつつ実行するための取り組みについて、また、協力会社を含めた産業面の能力の現状について、毎年報告を行うよう、EDFに対して求めた。
今回のANSの意見書について、原子力反対派は揃って批判的なコメントを発表。グリーンピースは、40年を超えた原子炉は経年劣化の未知のゾーンに入ると主張し、運転延長が原則として認められたことを問題視した。