ジェフ・クーンズ氏、盗作問題で敗訴

著名美術家のジェフ・クーンズ氏に作品を盗用されたとして広告業者が訴えていた民事訴訟で、パリ高裁(第二審)は2月23日、2018年にパリ地裁(第一審)が下した判決を追認し、クーンズ氏の非を認める判決を下した。盗作と認められたのは、1988年に制作され、2014年にパリのポンピドーセンターでジェフ・クーンズ回顧展が開催された際にも展示された作品で、仏カジュアル衣料品ブランド「ナフナフ(Naf Naf)」が1985年に展開した広告キャンペーン「Fait d’hiver」の画像を無断で剽窃したと訴えられていた。
この広告画像は、フランク・ダビドビシ氏(広告業者)が作成し、雪崩の被害にあって雪上に横たわる女性の上半身とそれに寄り添う豚(山岳救助犬のセントバーナードが首に下げる小樽を首に下げている)を組み合わせた独創的なものだが、クーンズ氏の作品はこれを真似た磁器製の彫刻で、作品名も全く同じ(ちなみに、「Fait d’hiver」は「冬の出来事」という意味合いだが、同じ発音で、「日常茶飯事」「三面記事」などを意味する「faits divers」のもじりでもあり、この点でもオリジナル)。クーンズ氏の側では、自分の作品は広告のパロディであり、作者の個性が刻印され、独自の芸術的メッセージを発信している、などと主張してきた。
しかし、裁判所は、同氏が自作品を既存の作品にインスパイアされた批評的作品あるいはカリカチュアなどとして明確に提示してはおらず、相違点よりも類似点が圧倒的に多いなどの点を指摘して、被告側の主張を退けた。高裁はその上で、クーンズ氏と同氏の会社ジェフ・クーンズLLCおよびポンピドーセンターに対して、総額19万ユーロの賠償金をダビドビシ氏に支払うよう命じた。第一審判決が命じた賠償金額は13万5000ユーロだったが、より厳しい判決となった。高裁はまた、クーンズ氏に対して、この作品の展示やネット上での複製の展示を禁止し、判決から1ヵ月を経ても、これを履行しない場合、1日当たり600ユーロの罰金を科すことも決めた。
クーンズ氏は現代美術の大スターの一人だが、その作品はしばしば盗作・剽窃疑惑による係争の対象となっている。