フランス:気候高等評議会(HCC)、「気候・抵抗力法案」を批判

投稿日: カテゴリー: 日刊メディアダイジェストエネルギー・環境レポート

気候問題の政府諮問委である気候高等評議会(HCC)は23日、政府がまとめた「気候・抵抗力法案」に関する見解を公表した。不十分な内容と指摘した。
気候高等評議会は、自らの権限において見解を提出することを決めた。法案は、くじ引きで選ばれた市民により構成される気候市民会議がまとめた提案に基づいて、政府が策定したものだが、気候高等評議会は、市民会議の提案に対して、法案の内容が後退していると指摘、項目により施行時期が先送りにされたことも問題視した。
法案では、広告規制について、化石燃料の広告は規制対象になったものの、SUVや一部の食品など、市民会議が対象とするよう提案したその他の製品は対象外になった。また、エネルギー効率が低い住宅の家賃は2028年より引き上げが禁止されることが決まったが、持ち家(エネルギー効率が低い住宅の58%は持ち家)については、改善義務付けの対象から外された。法案はまた、列車で2時間30分以内で行ける航空路線の運航を禁止しているが、気候高等評議会は、これでは国内便の10%(2019年実績)が禁止されるに過ぎず、ハブ空港への乗り継ぎ便になる場合は運航が認められるなど抜け道も多いと指摘した。給食サービスにおいて環境配慮型の食材を用いる(50%以上、さらに20%以上をオーガニック食品に)義務については、企業の社食など民間にも義務付けられる時期が2025年と遅いことを問題視した。
気候高等評議会は、現状ではフランスの温室効果ガス排出量削減のペースは不十分であり、2030年時点で1990年比で40%削減、2050年時点で排出量実質ゼロにするとの目標を達成するなら、この10年間の取り組みが鍵になるのに、法案はいかにも及び腰で効果が期待できないと指摘した。