アトランティック造船所、大型セイルのコンセプトを発表

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仏アトランティック造船所は16日、新開発のセイル「SolidSail」のコンセプトを発表した。今夏に実物大の実証試験を行い、商用化の開始を目指す。
SolidSailは、風力を大型船舶の推進力として用いる目的で、アトランティック造船所が地元の中小・中堅企業や大学・研究機関などの協力を得て、1800万ユーロの研究開発費を投じて開発を進めてきた。複合材料を利用した剛性の高い巨大なセイル(1000平方メートル)を、高さ80メートルのマストに配する構想で、技術実証の段階はすべて終了し、あとは実物大の試験を残すのみとなった。セイルはアコーデオン式の折り畳みが可能で、マストは360度回転して、その時々の最適なポジションにセイルを展開することができる。マストは傾斜が可能で、入港時の高さ制限もクリアできる。
今夏の試験に成功したら、2022年にも契約を獲得し、2025年の就役開始を目指す。商用化においては大型商船に3本のマストとセイルを配する計画で、既に、MSCクルーズを含む数社から引き合いがあるという。二酸化炭素の排出量は40-50%を削減できるといい、将来的には水素燃料などと組み合わせることでゼロエミッション化の実現も目指す。