2100年の仏気温上昇予測:4度を超える上昇も

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メテオ・フランス(フランス気象協会)は1日、気候変動の長期予想の結果を発表した。2100年時点で、フランスでは5度を超える平均気温の上昇を記録するリスクがあると指摘した。
この予測では、温室効果ガスの削減努力の成果がどの程度になるかに依拠して3つのシナリオを定め、それぞれについてフランス本土の気温上昇の影響を予測した。具体的には、温室効果ガスの排出量が早期に減少に転じ、カーボンニュートラルが2070年頃に達成される場合、温室効果ガスの排出量が2050年頃に減少に転じる場合、排出量が増加を続ける場合、の3つのシナリオが設定された。最悪のシナリオでは、2100年時点に1850-1900年比で3.2-5.4度の気温上昇を記録。中間のシナリオでは1.7-3.2度、最良のシナリオでも0.9-2.3度の上昇が記録される。
いずれのシナリオでも、気温上昇の影響は山岳地方(特にアルプス山脈とピレネー山脈)でより大きい。夏季の猛暑(平年比で5度を超える日が5日以上続く)の発生は確実に増え、最良のシナリオでも2倍に、最悪のシナリオでは10倍に増える。最悪のシナリオでは、年間の猛暑の日は平均で20-35日間となる。ちなみに、この日数は、1976-2005年には3-4日間だった。産業革命以前より平均気温が2度高くなると、最高気温が50度を超える日が発生することも考えられる。なお、現在の国内の最高気温は、南仏エロー県で2019年6月に記録された46度となっている。
降水量は2100年の時点で、2-6%の増加を記録する見通しだが、冬季に多く降り(9-20%増)、夏季には減少する(22%減)ことが予想される。降水量の予測は難しいが、全体として豪雨の強度が高まり、干ばつの期間が長くなるという変化が生じるものと懸念されている。