2022年の大統領選に向けて、保守陣営内にはミシェル・バルニエ氏の出馬に期待する声もある。本人も意欲的で、現在は出馬に向けた地ならしを進めているという。
バルニエ氏は70才。保守政界の大物政治家で、地元のサボワ県の県議(1973年から)を皮切りに、国会議員としても長く活躍し、1993年以来で4回に及ぶ閣僚経験(2004-05年の外相、2007-09年の農相など)を有する。地元とのつながりを大切にしつつ、欧州連合(EU)においても、2回に渡り欧州委員会委員を務めるなど、親欧州派としても知られる。2016年以降は、英国の欧州連合(EU)離脱に関するEU交渉官を務め、困難な交渉を陣頭で指揮し、昨年末に離脱合意をまとめることに成功したばかりだった。
落ち着いた人柄と話し合いを重んじるその姿勢は、今日の政界の中で異彩を放っており、国民の間の評価も高まっている。7日に発表された政治家の好感度調査では、保守の政治家の中で、フィリップ前首相(54%)とサルコジ元大統領(33%)には及ばないものの、出馬に意欲を見せるベルトラン・オードフランス地域圏議長と並ぶ27%の好感度を獲得。ペクレス・イルドフランス地域圏議長(23%)やルタイヨー上院議員(10%)など、出馬を準備する他の人物と比べると高い人気を見せている。
ただ、保守の有権者層の支持を集めるには、親欧州派という立ち位置はかえって邪魔になる恐れもある。これから表に出てゆけば、保守陣営のお家芸である足の引っ張り合いで攻撃の標的になるのも間違いない。それを知らないわけではないバルニエ氏が、EU離脱交渉のような手柄をここでも挙げることができるかは未知数だが、おそらく離脱交渉よりもさらに難しい難関が待っている。