マクロン大統領は12月22日、週刊誌レクスプレスとのインタビューに応じて、「フランスのアイデンティティ」に関する自説を披露した。
「アイデンティティ」については、サルコジ元大統領が在任中に、移民問題に絡んで「国のアイデンティティ」に関する議論を喚起した前例がある。マクロン大統領は、「2018年秋の社会的危機(「黄色蛍光ベスト」の抗議行動を指す)、2019年冬の労使対立(年金改革反対デモを指す)、そして現在の「パンデミック」を挙げて、国民が衰退や生命の危機への意識を強めている今、「フランスとは何か」について考える必要があると述べ、移民問題についても、「文化的な安全上の懸念」を引き起こす要因になっているという見方に答えてゆかなければならないとの見方を示した。
マクロン大統領は具体的に、フランス人であるとは、何よりもまず「言葉と歴史に住まう」ことだと規定。国籍取得に当たり、言語能力と歴史の知識を求めるという要件を強化したのはそのためだとした。その一方で、歴史的な人物の銅像等の撤去を求める最近の運動について、歴史は複雑性を備えているのに、感情に流されて性急な結論を下すのは誤りだと言明。大統領は、「感情的な犠牲者社会」が出現していると述べて、「被害者の存在を認めて、その声が聞き届けられるようにする」のは当然だが、犠牲者はとにかく正しく、理性的な判断さえ押しつぶすという状況は正しくないとした。大統領は同時に、「移民の流れはフランスという大河を豊かにする」とも述べて、移民系の人物の名前をより多く、街路や広場の名前につける準備を進めていることを再確認した。