2020年12月22日 編集後記

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今年は春から新型コロナウイルスに振り回されて終わったという気もする。いや、あと1週間ほどを残して、問題はまだ山積みなのだから、終わった、というのは不正確だろう。もちろん年末は待っていれば自動的に来るが、これからの1週間あまりの間に亡くなって、一緒に新年を迎えられない世界中の多くの人々のことを思うと心が痛む。しかし、そんなことを思う自分だって、年末にはすでにこの世にはいないかも知れないのだ。年が終わるより先に自分が終わってしまう可能性を真剣に受け止めざるを得ない(おまけに誰も心を痛めてすらくれないかも知れないし…)。
ワクチンが予想以上に素早く開発されたのは朗報だが、その効力や安全性にはまだ不確かな面がある。パストゥールを生んだ国に住む人間として、科学的な裏付けのないワクチン反対運動に加担するような恥ずかしい真似はさすがにしたくないが、すぐに接種を受けたいかと問われれば、迷う気持ちがあることを認めざるを得ない。ワクチンはリスクより便益が大きいと頭では分かっていても、それは集団レベルでの話に過ぎない。
しかも、遂に感染力の強い変異種まで登場してしまった。英国だけでなく、すでに他の数か国で感染が確認されている。幸いにして、この変異種は特に毒性が強いというわけではないらしいが、今後に毒性も強く、ワクチンも効かない新たな変異種が出現するリスクは当然想定しておく必要がある。
月並みだが、こうした危機状況の利点は、自分が今日も消滅しておらず、一定の健康を享受していることの幸運を改めて再認識し、それを喜び、感謝する気持ちが強まることだろう。色々な意味で、来年はただ単に生き延びていること自体がすでに快挙であるような厳しい年になるかも知れないことを自覚しつつ、クリスマスや年末年始を例年よりも少しおとなしく(できるだけマスクも着用して)祝いたいものである。