リベラシオン紙は14日付で、仏税務当局がカルロス・ゴーン氏を対象にした追徴課税を準備していると報じた。およそ1300万ユーロ相当の資産を差し押さえたという。
報道によれば、仏当局は、2012年にゴーン氏がフランスからオランダ・アムステルダムに住居を移したことを問題視している。2018年の失脚以来、フランスとオランダの司法当局はゴーン氏を対象とする複数の調査に着手したが、その流れで仏税務当局も一連の再検証を通じてゴーン氏の2012年の転居が課税逃れを目的とする名目上の転居であるとの疑いを強め、資産の差し押さえに踏み切ったという。差し押さえの対象となった資産は、夫人のキャロルさん名義のパリ市内のマンション(2019年に590万ユーロで購入)、パリ近郊イブリーヌ県内の住居の半分の抵当権(残りの半分はゴーン氏の前夫人が保有)、ルノー株式等(50万ユーロ相当)、銀行口座等であるという。
ゴーン氏は2012年に、アライアンスの本社を置いたアムステルダムに転居するという名目で、フランスからオランダへ課税地を移した。この移転には、フランスに当時存在していた富裕税(ISF)の課税を逃れられるという利点があった。仏当局はこの移転にお墨付きを与える事前照会には応じていないといい、当局は再調査を経て、ゴーン氏の生活の中心は仏国内に留まっていたとの疑いを強めて、節税分の追徴課税を行う方針を固めたという。この問題については当局とゴーン氏の間で協議が続いているといい、いずれの当事者もリベラシオン紙の取材には応じなかった。