国際数学・理科教育調査(TIMSS)の2019年調査結果が発表された。フランスは欧州諸国中でも、経済協力開発機構(OECD)加盟国中でも、最下位の部類に入った。
調査は、CM1(小学校4年生に対応)と第4級(中学校2年生に対応)の生徒、各4000人前後を対象に2019年5月に行われた。フランスは、CM1において、算数が485点となり、欧州平均の527を顕著に下回った。第4級でも結果は悪く、平均点は483点となり、欧州等の平均の511を下回った。CM1の成績は、前回調査の2015年と比べて変わっていない。他方、第4級で調査が行われるのは、フランスでは1995年以来で初めてであり、平均点は47点の大幅低下を記録した。1995年には第4級と第5級(中学校1年生に対応)で調査が行われ、第5級では第4級より成績が46点低かった。25年を経て、現在の第4級の学力は1学年下の水準まで下がったことになる。
学力が低い理由について安易には論じられないが、教員の養成が不十分であることが以前から指摘されている。小学校の教諭は人文科学系の出身者が多く、教職に就く頃には数学上の能力を失っており、効果的な教育メソッドを持たずに生徒たちの前に立つ形になることが問題視されており、適切な研修の必要性が強調されている。改善に向けた改革が動き出してはいるが、今回の調査においてはその効果はまだ出ていない。分野別だと、計算の成績が特に悪く、それに対して図形・幾何や統計・確率(中学生の場合)の成績は比較的良好という結果も得られている。