1月1日付でなされる法定最低賃金(SMIC)の年次改定について、有識者委員会の答申が1日付で労働省に提出された。規定通りの改定幅に留めるよう勧告した。
SMICは現在、時給で10.15ユーロ、月額(週35時間でフルに就労の場合)で1539.42ユーロ(いずれも現金給与総額ベース)となっている。規定では、毎年、インフレ率(所得下位20%の世帯の消費構成を踏まえて算定)に平均賃金上昇率の2分の1を上乗せした率にて増額がなされることになっているが、政府はこれに一定の率の上乗せを別途決めることができる。有識者委員会は、新型コロナウイルス危機を受けて雇用懸念がある中で賃金を過度に引き上げると雇用破壊を招く恐れがあると指摘し、追加の上乗せを決めずに規定の引き上げ幅に留めるよう勧告した。まだすべての統計値が出揃っていないが、有識者委員会は、0.99%の改定幅になるとの暫定値を示した。これは前回の1.2%と比べて小さくなる。
有識者委員会はさらに、SMICの制度改革の必要性を改めて指摘。現行制度においては、物価上昇分の吸収が保障され、さらにそれ以上の購買力増強が認められる形になっているが、委員会は、インフレ率並みの引き上げに留めるか、引き上げ保障の制度そのものを廃止し、政府が政策上の判断から改定幅を任意に決める形にするか、いずれかが妥当だとの見解を示した。
労組はそのような改正には強く反対しており、政府に対して、景気刺激をにらんでSMICの追加引き上げを決めるよう要求している。