新型コロナウイルスワクチンの接種キャンペーンについて、HAS(保健高等機関)は11月30日に意見書をまとめて公表した。ワクチンの確保できる量に制約があることから、優先順位を設定して段階的にキャンペーンを展開するよう勧告した。
具体的には、第1段階として高齢者施設(EHPAD)の入居者75万人と、同施設の職員10万人弱を対象とすることを勧告。高齢者施設の入居者は新型コロナウイルス感染症で1万6000人余りが死亡(死亡者数は全体で5万2000人)しており、特に大きな被害が出ている。第2段階では、65才超の高齢者と医療関係者が対象になるが、まず75才超の人、次いで65才超でリスクの高い人(慢性疾患の患者など)、最後に65才超のその他の人へと段階的に実施、50才超の医療関係者がこの段階にて接種の対象となる。次の第3段階では、50才超の人と、50才未満で特に高いリスクのある人、そして、すべての医療関係者と、「重要部門の勤務者」(治安、教育など)が対象になる。第4段階では、就労環境ゆえに感染リスクが高い人と、生活環境が不安定な人(ホームレスなど)が対象となり、最後の第5段階にて、18才超のすべての人が対象となる。
現在、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカがそれぞれ開発した3種のワクチンが審査段階にあり、年末か来年年頭には最初の入荷がなされるものとみられている。政府は、ワクチン接種を義務付ける可能性を否定している。新型コロナウイルスワクチンへの国民の信頼感は低く、世論調査によると41%が接種しないと回答しており、国民を説得する努力が必要になる。ファイザーとモデルナのそれぞれのワクチンは、全段階を通じて超低温を維持する必要があり、その手配も課題となる。専門家らは、ワクチン接種の効果が出たとして、平常の状態に復帰するのは2021年秋以降になると予想している。