警察官による暴力事件が発覚、ダルマナン内相への風当り強まる

パリ市内で警官隊が黒人男性に理由なく暴力をふるっていた事件が11月26日に明らかになった。ダルマナン内相は事態を重く見て、事件に関与した4人の警察官を停職処分とし、有罪が明らかになった時点で懲戒免職にすると予告した。
この事件は14日夜に17区で発生。音楽プロデューサーを営むミシェル・Zさんが、経営するスタジオ前で巡邏中の警官隊と遭遇した。ミシェル・Zさんはマスクを着用していなかったことから、スタジオに戻ることにしたが、警官隊は追跡をやめずに、ミシェル・Zさんを追って建物内に侵入した。警官隊は激しい暴力をふるい、ミシェル・Zさんによると「汚いクロンボめ」などと罵倒した。スタジオ内ではミュージシャンらが録音中だったが、警官隊は催涙弾を破裂させて全員を拘束し、暴力を振るうなどした。ミシェル・Zさんはその後、2日間に渡り勾留され、「警察官への暴力」と「蜂起」の容疑で追及を受けた。
事件の一部始終は建物の防犯カメラで撮影されていた。26日にはニュース専門サイトLoopsiderを通じてその内容とミシェル・Zさん本人の談話が公表され、大きな反響を呼んだ。警察官らは、作成した調書において、ミシェル・Zさんが自分たちを建物に引き入れ、武器を奪おうとしたなどと記載していたが、映像は警察官らの主張が全面的に虚偽であることを示しており、警察官側の悪意は疑う余地はない。ミシェル・Zさんを容疑者とする捜査は打ち切られ、警察の不正行為を操作するIPGNにより、「暴力」と「公文書偽造」の容疑で、関係した警察官らを対象とした捜査が開始された。
この数日間で警察官らが無償の暴力を振るう事案が数件発生しているが、いずれも撮影されていたことから問題化に至ったという特徴がある。折しも、国会審議中の治安法案においては、「警察官の職務遂行の模様を撮影した動画等をインターネット上で公開する」行為を犯罪として処罰する条項(第24条)が含まれており、議論の対象となっていたが、新たな事件の発覚により、この条項と、それを支持してきたダルマナン内相への風当りは一段と強まった。