2020年11月24日 編集後記

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第二次世界大戦中にフランスのレジスタンスの指導者として活躍したダニエル・コルディエ氏が20日、死去した。100歳だった。2018年春のインタビューで、戦時中の教訓として、「歴史は様々な時代の連続で、良かったり悪かったりの繰り返しだ。八方塞がりに感じられる時でも何か希望はあるものだ」と楽観的な態度を保つことの大切さを強調していた。当初は反ユダヤ主義者だった同氏は1943年にパリのシャンゼリゼ通りで「ユダヤ人」という言葉と黄色い星が縫い付けられた服を着た2人のユダヤ人とすれ違い、突然に考え方が変わったという。現在のフランスや欧州では反ユダヤ主義の再燃が見られるが、同氏は「こうした醜悪な事態はすっかり過去のものとなったと思っていたが、実際にはそうではないと言わざるを得ない。我々が戦ったのは、欧州が逆戻りするのを見るためではなかった」と嘆いた。
22日にはやはりレジスタンスの闘士として活動した後、1943年にゲシュタポにより逮捕され、1945年4月に解放されるまで、強制収容所で14ヶ月間を過ごしたノエラ・ルージェさんも亡くなった。やはり100歳だった。こうした貴重な歴史の証人がどんどんいなくなってしまう中で、ネオナチや極右による従来型の反ユダヤ主義に加えて、イスラム主義と極左による反ユダヤ主義も欧州を席巻しつつある。いたずらに悲観すべきではないが、欧州は再び闇の時代に向かいつつあるのかも知れない。