RTE(送電網管理主体)は19日に、今冬の電力需給に関する見通しの更新結果を発表した。2月後半に厳冬が来た場合、供給が不足するリスクがあると指摘した。
春季に新型コロナウイルス禍で外出・移動制限が導入されたのを受けて、国内の原子力発電所の保守作業には大きな狂いが生じた。例年、需要期である冬季に原子力発電所がフル稼働できるように、春季は保守作業が集中する時期であり、日程が乱れたことで冬季の需給がひっ迫するリスクは高まった。原子力発電所を運営するEDF(仏電力)は保守の日程を調整してできる限り電力の供給が確保されるように工夫し、その効果もあって、11月から12月にかけては電力不足が発生するリスクは低まった。再ロックダウンにより電力消費が5%低下したこともこの点では好材料となった。ただ、1月以降は、気象状況によって電力の需要が大きく高まり、供給が追い付かなくなる恐れが残り、フラマンビル原子力発電所の運転再開が再延期される公算が強まったこともマイナス材料となる。特に、2月後半に平年比で2-7度低い水準で気温が推移した場合には状況が厳しくなる。
極端な場合には、計画停電も選択肢として残る。労組CGTは、フェッセンアイム発電所の閉鎖や石炭発電所の閉鎖により、ベースロード電源を失ったことが背景にあると主張し、石炭発電所の全廃の方針を凍結するよう要求している。RTEはこうした主張について、保守の日程に狂いが生じたことが足元の困難の原因であって、石炭発電廃止といったエネルギー政策上の選択とは関係がないと反論している。