2020年11月10日 編集後記

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欧州諸国が新型コロナウイルスの第2波に見舞われて、対応に苦慮している中で、フィンランド(人口550万人)では、 春以来の累積の感染者数が1万7119人、死者数は361人にとどまり、直近2週間の新規感染者数も10万人当たりで51.8人に抑えられている。経済への影響も第2四半期(4-6月)のGDP成長率はマイナス4.5%と後退幅がEU加盟国中で最も小さかった。春のロックダウンは多くの国で国民を苦しめたが、EUが秋に実施した世論調査によると、フィンランドでは国民の4分の3がロックダウンは楽ちんだったと判断しており、生活の質が改善したと考える人も全体の4分の1に上った。
これは他人との混じり合いを避け、孤独を好む国民性のおかげとみられている。春に保健当局が2メートルの社会的距離を確保するように呼びかけた際に、フィンランド国民は普段の4メートルの距離を維持できなくなったことに悩んだ、という笑い話が人気を博したというが、「冷たい」と評されることもあるフィンランド人の特徴を良く捉えている。
微生物を発見し、ワクチンによる予防接種を発明したフランスのルイ・パスツールは決して他人と握手をしなかったそうだが、賢明な態度だろう。パスツールの死後1世紀以上を経て、まだ握手やハグをはじめとする危険な接触を日常的に続けている人々がたくさんいることには驚くほかない。過去の感染症から何も学んでいないのだろうか。COVID-19第2波に悩む南欧人はもっとフィンランド化して、森の散歩やリモートワークを楽しむ術を学ぶべきだろう。やたらとべたべた接触したがる地中海的な人間関係(偏見?)は新型コロナウイルスを機に滅ぶほかあるまい。