アボルタ・パートナーズ(投資銀行)の集計によると、仏ベンチャー企業の資金調達額は2020年に55億ユーロに上る見通し。新型コロナウイルス危機の中でも過去最高記録を更新する。
調達額が1億ユーロを超えた案件もここまでで10件に上った。最大の案件はVoodoo(モバイルゲーム)の4億ユーロで、中国のインターネット大手テンセントなどから大型の出資を得た。2位はMirakl(マーケットプレイス構築ソリューション)で2億5500万ユーロを調達。欧州大手ファンドのパーミラなどから出資を得た。3位のYnsect(昆虫ベンチャー)は1億9000万ユーロを調達した。
フランスでも、シーズファンドから大手ファンドによるベンチャー投資に至るまで、資金供給の枠組みが完備しつつあり、ベンチャー企業の成長を助ける基盤が整ってきた。10年来の起業志向の高まりにより、大手企業への就職よりも起業での成功を狙う若い世代が増えたことで、投資対象となりうるベンチャー企業の層が広がったことも大きい。その一方で、大型の調達案件は概して、米国やアジアの新規参入の投資家がけん引しており、景気循環に左右されない将来性のある投資対象として技術系のベンチャー企業が特に注目されている。