トルコによる仏製品ボイコット、実質的被害は小規模

イスラム過激派による教員殺害事件を受けてマクロン大統領が預言者などの戯画を描く自由を擁護したことがイスラム圏で強い反発を招いている。特にトルコのエルドアン大統領はマクロン大統領を侮辱する発言を繰り返すとともに、フランス製品のボイコットを正式に呼びかけ、他のイスラム圏諸国でも当局による正式な呼びかけではないものの、ボイコット運動が展開されている。世論の反発はともかく、トルコ以外に、モロッコ、パキスタン、イランなどでも政府がマクロン政権の立場を批判した。サウジアラビアやエジプトの当局者の反応はより穏健だった。
エルドアン大統領はイスラム・スンニ派の擁護者を標榜しており、イスラム原理主義との闘いを前面に押し出したマクロン大統領を格好の標的として攻撃することで、イスラム世界での影響を強化する政治的狙いがあるとみられている。これに対して、仏政界は左翼政党「不服従のフランス(LFI)」を除いてほぼ全ての政党がマクロン大統領を擁護し、結束を表明している。また仏経済界でも主要経営者団体MEDEFのルードベジュー会長が25日、仏製品ボイコットは「悪い知らせ」だと認めつつも「ビジネスの発展よりも我々の原則が優先する」と仏政府の姿勢を支持した。
ボイコットの実際の影響について、27日の仏レゼコー紙は、フランスのトルコ向け輸出額は2019年に60億ユーロで、フランスの輸出総額のわずか1.2%に過ぎないと指摘している。またトルコ向けの輸出品の多くは、トルコ企業が必要としている機械、化学製品、鉄鋼製品などであり、ボイコットされるリスクは小さい。しかし、一般消費者向けの化粧品、食品、医薬品などの輸出には影響が及ぶ可能性が強い。また自動車大手ルノーのようにトルコに生産拠点を設け、同国を重要市場としている一部の大手メーカーにも影響があると予測される。
ボイコットの動きはクウェートやカタールでも見られるが、これにサウジアラビアなどを加えても、ボイコットが展開されている諸国へのフランスの輸出額は輸出総額の3%未満にとどまるという。