7-9月期の大手企業業績の発表が始まる。EYがまとめた集計によると、パリ株式市場CAC40指数の構成企業は1-6月期に、全体で19%の減収を記録した。2009年の経済危機時でも減収幅は9.8%であり、新型コロナウイルス危機の影響の規模が極めて大きいことをうかがわせた。営業利益率(銀行・保険除く)は6.4%となり、前年同期と比べて4割も後退した。最終損益は1億ユーロの赤字となり、全体の3分の1強の企業が純損失を記録した。全体の合計が赤字となったのは、少なくとも2007年以降には前例がない。2008-09年の経済危機時にも黒字が確保されていた(2008年下半期に60億ユーロ、2009年上半期には200億ユーロ)。
状況は企業によりかなり異なる。工業部門やエネルギー・ユーティリティ部門の企業の場合、減収率は20-30%と大きい。減収率が最も大きかったのはエアバスの39%だった。半面、テクノロジー、メディア、電気通信や消費財は減収率が5%未満と健闘。ダッソーシステムズ(ソフトウェア)は15%の増収を記録した。これは企業買収の効果によるところが大きいが、それを除外しても5%の増収を確保した。全体に、高級ブランドやデジタル、そして中国事業に強い企業は堅調で、それ以外の企業との差が開いた。高級ブランド大手のLVMHの場合、7-9月期にアジア(日本除く)で13%の増収を達成した。
CAC40指数の構成企業は、2019年の利益に対応した分として、540億ユーロの配当を予定していたが、新型コロナウイルス危機を踏まえてこれを300億ユーロに削減した。銀行部門が配当見合わせを当局から指導されたことも影響した。懸念材料としては、6月末日時点ののれん代が合計で3億8200万ユーロと高いことがあげられる。