ナント歴史博物館がチンギス・カン特別展の開催を断念、中国の干渉が背景に

ナント歴史博物館が、予定していたチンギス・カンに関する特別展の開催を断念した。ルモンド紙に対して同博物館のベルトラン・ギエ館長が説明したところによると、中国政府から内容について干渉を受けたことから、開催を断念することにしたという。
チンギス・カンは12世紀から13世紀にかけて活躍し、モンゴル帝国の建国の祖として知られる。特別展は、中国のフフホトにある内モンゴル博物館の所蔵品の貸与を受けて、フランスでは過去にない規模の特別展を開催する計画だった。当初はこの10月の開催を予定していたが、新型コロナウイルス危機を受けて、開催を2021年1-6月中に延期し、準備を進めていたが、ギエ館長によると、中国当局から内容を見直すよう干渉を受けた。中国側はまず、「チンギス・カン」、「帝国」、「モンゴル」などの文言を使わないよう要望し、博物館側は、特別展のタイトルを「天空とステップの息子」に改めて、チンギス・カンを副題に入れるという折衷案を提示した。中国側はこれに不満を示し、特別展の全文書を提出させて細かな修正を要望してきた。館長によると、「モンゴル」を「北中国のステップ地方」に改めさせることなどを含めて、モンゴル文化の存在そのものを否定するような要求であったことから、博物館側は中国側との協力を断念して、特別展を中止することを決めた。
習国家主席が就任した2013年以来で、中国の国家主義は先鋭化の一途を辿っており、少数民族に対する締め付けも厳しさの度を増しているという識者の指摘もあり、そうした中で、政府の歴史観に反する内容の言説を許容する余地がなくなっていることを示す事件だとの見方もある。在フランスの中国大使館はこの件に関するルモンド紙の取材を拒否。ナント歴史博物館は、欧米の主要博物館の協力を得て、2024年にモンゴル展を開催することを目指している。