新型コロナウイルス危機を背景に、このところ大型の債務再編案件が相次いでいる。9月以降では、レンタカー大手のヨーロッパカー(20億ユーロ)、シームレス鋼管大手バローレック(37億ユーロ)、そして、ホテル大手アコーの30%子会社であるアコーインベスト(ホテル不動産を保有)が40億ユーロの債務再編に着手した。より小規模な案件を含めると、合計で100億ユーロを突破する規模となった。
経済紙レゼコーによれば、債権銀行団は、12年前の経済危機時とは異なり、債務繰り延べに応じるのにはごく消極的であり、むしろ債権を売却する動きが目立つ。ヨーロッパカーの債権銀行団は債権を売却、バローレックの債権銀行団の場合は、報道によれば、BNPパリバとナティクシス(BPCE銀行傘下)を除いて他の銀行は手を引いた。代わりに、アポロ、センターブリッジ、SVPなどの債券ファンドが積極的に債権を買い集めている。額面に対する欠け目は30%かそれ以下という好条件が提示される案件もあり、ヨーロッパカーの与信枠に至っては額面の90%近くという価格とあって、銀行側は好条件に飛びついているという。銀行自己資本比率規制の強化もあって、銀行としては手元に置いておくのは不利で、処分した方が得策という事情がある。「ハゲタカファンド」などという悪口も今では聞かれなくなったというが、公的保証の伴う銀行融資の債権に手を出す外国系のファンドは見られないといい、国の介入を嫌うその姿勢にブレはない。