調査会社トレンデオの集計によると、仏国内の航空機産業(下請け含む)における雇用数は、2020年1-9月に1万3354人の純減を記録した。2019年には2611人の純増を記録していたが、新型コロナウイルス危機の影響で大幅な減少に転じた。同産業界は、2008年の経済危機の後、2009年には雇用純増に転じ、11年間に渡り順調な雇用増を記録してきたが、2020年には、その合計の純増分がすべて失われた計算になる。
新型コロナウイルス危機の打撃は、航空業界と航空機産業界で特に大きい。エールフランスは7712人の雇用削減を発表。エアバスも5797人の削減を決めている。航空業の立ち直りは当初見込みと比べて大幅にもたついており、これが航空機の需要の回復の遅れとなって現れている。航空業の不振は米欧で特に著しく、新型コロナウイルスの感染の抑制が実現せず、欧州では各国が別々の規制を敷いていることも、旅客機の運航と客足の回復の妨げとなっている。
こうした中で仏政府は、自動車産業と航空機産業の中小企業を支援する目的で、「近代化基金」を設置したが、このほど、支援対象のプロジェクト37件を選定した。支援はBPIフランス(公的投資銀行)を通じて補助金支給の形で行われる。技術力のある下請けの中小企業が事業を維持し、企業の存続を図れるよう、近代化やイノベーションのプロジェクトを選定して支援の対象とする。2022年末までに総額で9億ユーロが投入される予定で、うち3億ユーロが2020年中に支出される。1件につき平均で50万-80万ユーロの補助金が支給される予定。