パリで刃物によるテロ攻撃、2人が負傷

週刊紙シャルリー・エブドの編集部がかつて入居していたパリ11区にある建物前で25日に襲撃事件が発生した。喫煙のため建物前に出ていた従業員2人が、顔や首を小斧で切り付けられた。2人は重傷を負い入院したが、生命に別条はないという。犯人は逃走したが、数時間後にメトロのバスチーユ駅付近で逮捕された。当局はテロ事件と判断して捜査を続けている。
逮捕された犯人は、パキスタン人のアリ・ハッサン(18)で、2018年8月にフランスに入国した。保護者のいない未成年の外国人として、規定により保護の対象となった。年齢詐称の疑いで当局が異議申し立てを行ったが却下されたという経緯があったという。ハッサンは去る8月10日に成年に相当する満18才となり、施設を離れて同国人数名とパリ近郊パンタン市内のアパートで共同生活を送っていた。成年となり、保護対象から外れたことで、国外退去処分を含めた身分の検討手続きが進められている中で犯行はなされた。なお、ハッサンはイスラム過激化等の疑いによる当局の監視対象にはなっておらず、犯罪歴も、今年6月に鉄道内部で武器(ドライバー)を携行していたために裁判所から注意を受けた以外のものはなかった。
ハッサンは警察の取り調べに対して、シャルリー・エブドが最近にイスラム教の預言者ムハンマドの戯画を再掲したことに憤り、犯行を計画したと自供している。これらの戯画は、2015年1月にシャルリー・エブド編集部が襲撃を受け、編集責任者らが多数殺害される事件が発生するきっかけになったもので、この事件の裁判が開始されたのにあわせて、シャルリー・エブドが再掲に踏み切った。この再掲については、アルカイダ系のテロ組織による「死刑判決」の対象となっていた。報道によると、ハッサンによる「犯行声明」的な動画がネット上で出回っているが、ハッサンはその中でも、テロ組織との関係については言及しておらず、今回の犯行となんらかのテロ組織の介在を結びつける材料は今のところ得られていない。警察の捜査によると、ハッサンは前日に現場の下見をしており、犯行当日にはホワイトスピリットと小斧を携行。ホワイトスピリットで建物に放火を企てたが、考えを変えて小斧による襲撃に至ったと考えられている。シャルリー・エブド編集部は以前から別の場所(住所は非公開)に移転しており、被害に遭った従業員は、同じ建物に入居しているテレビ番組制作会社等に勤務していた。ハッサンは移転の事実を知らなかったものとみられている。
ハッサン以外に、防犯カメラの映像から、ハッサンと言葉を交わしていた人物が犯行直後に逮捕されたが、この人物は犯行とはかかわりがないことが判明し、釈放された。その一方で、警察は27日までに8人を逮捕し、取り調べを進めている。逮捕されたのは、パンタン市のアパートで共同生活を送る5人と、以前の施設で同室だった1人、そしてハッサンの友人とその弟の1人であるという。