仏政府、EU・メルコスルの自由貿易協定案を拒否

カステックス首相は18日、メルコスル(アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ)と欧州連合(EU)の自由貿易協定案を拒否すると発表した。現行の協定案では、生物多様性を危険にさらし、気候変動を招く森林破壊がもたらされる恐れがあるとの理由を挙げた。政府の依頼を受けた専門家委員会が同日に報告書を提出したが、首相はその内容を踏まえて、直ちに拒否の方針を決めた。
報告書によると、自由貿易協定が発効したら、その後の6年間で、森林破壊が年間平均5%のペースで拡大する。牛肉生産を目的とする畜産拡大のために森林破壊が生じるという。
フランスでは、特に農業団体FNSEAがメルコスルとの自由貿易協定に強く反対しており、政府は環境問題を口実として協定案の拒否に踏み切った格好になる。ただし、協定案に対しては、これまでにオーストリアとオランダで現行案を拒否する旨の国会決議がなされており、メルケル独首相も、8月21日の時点で、ブラジルで森林火災が続いていることを挙げつつ、「重大な疑念」を表明していた。フランス政府の意思決定もこうした流れに位置づけられる。首相府では、協定締結そのものに反対しているわけでなく、気候変動対策の推進とパリ協定に法的拘束力を持たせることをメルコスルの加盟諸国に要求し、関税及びトレーサビリティの検査強化などの修正を求める再交渉を行うことを提案している。フランス政府としては、EUによる輸入に「炭素関税」を導入する構想を後押しする狙いもある。