「処女証明書」発行の医師らを処罰の新方針が物議に

マクロン政権は先頃、年内をめどに「分離主義対策法案」を提出すると予告した。イスラム原理主義を念頭に置き、コミュニティ中心主義的な動きを排除し、共和国の制度と法律の徹底を図るという趣旨の法案であり、その一部として、「処女証明書」の発行を処罰の対象とする条項が盛り込まれることになっている。こうした証明書は、イスラム教徒の間で、結婚の際に女性に求める習わしが一部にあり、そのような悪弊が広がるのを封じる狙いが法案には込められている。ただ、この措置については、現場の医療関係者から、発行を禁止するというのは戦う相手を取り違えているとする批判の声が上がっている。
2003年の時点で、フランス医師会は、このような証明書には医学的見地から一切の正当性はなく、周囲に強要されてこのような証明書の発行を求める若い女性の尊厳を傷つけるものだとして、発行を拒否するよう指示する勧告を出している。証明書を発行するよう依頼を受けるのは、もっぱら産婦人科医や助産婦などだが、もとより、健康診断により処女であるか否かを把握する方法などはない。現場の医師や家族計画支援団体など関係各方面は、証明書の発行を求める社会的圧力こそが問題であり、啓蒙活動を優先すべきだと主張。医師は、受診に来る人と話し合い、説得することで、第一線でそうした啓蒙活動を行っているのであり、処罰を医師らに向けるのは間違いだと説明している。現場の医師らは、それぞれの状況を見た上で、特に厳しい状況に置かれている女性には、救済の意味でやむを得ず証明書を発行する場合もあると証言している。