2020年9月8日 編集後記

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フランスの各地で馬が殺傷されるという奇っ怪な事件が起きている。特に愛らしいポニーを殺害し、耳を削ぎ、目をくり抜き、性器を抉った死骸を放置したケースは、その猟奇的な手口も手伝って、フランス中の馬主を震撼させている。獣姦趣味の容疑者が逮捕されたが、一連の事件との関わりは不確か。全国各地で馬を襲撃とするという事件をたった一人の変態男が起こしたとは考えにくいため、今の所は手がかりがないままだ。
この事件はちょうど、動物福祉強化に関する国民投票請求運動が展開される中で発生した。この運動はフランス国民の大半の支持を得ている。素朴な実感として、フランス人は総じて動物好きだ、と感じる。例えばパリでも、通りで犬を虐待している飼い主がいたりすると(だから、動物を虐待する人ももちろんかなりいるわけだが。。。)、周りの住民たちから「やめろ!!」と大声があがる。無関心や平気ではいられないからだろう。
フランスのTV広告では、元気な鶏や牛が登場した直後にパックされた鶏肉や牛肉が「美味しそうでしょう」提示されることがしばしばあり、筆者は何年たってもこの感覚を共有できないままだが、一部の家畜を食用と割り切って垂涎することと、犬や猫や小鳥や馬を可愛がり、動物福祉に配慮することは必ずしも矛盾しない。いや、そこには矛盾がある、動物を愛するものは、動物を食うべからず、という考え方をするのがビーガンなのだろうが、個人レベルでならともかく、これを一般的な倫理として強制しようとすると、狂信への道をまっしぐら、という結果になる。福祉レベルでとどめておくのが賢そうだ。
ところで筆者は鶏の唐揚げやフライドチキンやチキンナゲットをはじめとして鶏肉が大好きなのだが、最近友人が飼っている雄鶏と仲良くなって以来、不思議と鶏肉が食えなくなってしまった。鶏肉を見ると、彼(って鶏君ね)のことをつい思い浮かべてしまう癖がつき、やむなく豚肉や牛肉を選んでしまう。豚や牛と個人的に知り合いになる機会はなさそうだから、まだ肉食は続けられると思うが、ビーガン的な心情も分からないではないのである。