リブレA・LDDS、資金流入が継続

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政府系金融機関CDC(預金供託金庫)が21日に発表した集計によると、リブレAとLDDS(利息非課税の貯蓄口座)の純預入額(引き出し額を控除後)は7月に24億9000万ユーロとなり、前年同月の19億ユーロを上回った。純預入額は、外出制限が適用中の4月に73億9000万ユーロと記録的な水準に達し、続く5月にも51億4000万ユーロと高めの水準を維持。それ以外の月もいずれも純流入を記録しており、合計すると、1-7月の純流入額は222億5000万ユーロに達した。通年の純流入額は、2012年の281億6000万ユーロが過去最高額だが、この調子だと、今年は最高記録を更新する勢いとなった。
フランス中銀の統計によると、仏世帯は1-6月期に1000億ユーロ近くを流動性の高い当座口座等に蓄えた。当座口座の残高は同期に600億ユーロ弱の増加を記録、利息付き貯蓄口座の残高も350億ユーロ近くの増加を記録した。限度額のあるリブレA(2万2950ユーロ)とLDDS(1万2000ユーロ)が満杯になった家計が、銀行が提供する貯蓄口座の利用を拡大した様子も窺われ、4-6月期にはこれら口座の残高が70億ユーロ近く増加した。外出制限期間中には個人消費が30%の大幅減を記録、その一方で、一時帰休の利用もあって可処分所得の目減りは小幅に留まったことから、4月の貯蓄性向は40%と記録的な水準に達した。外出制限の終了に伴い、6月には個人消費支出が2.3%増(前月比)と回復を見せてはいるものの、家計が先行き懸念を背景に貯蓄を優先する姿勢を示しており、これが7月のリブレA・LDDSの純流入幅の大きさにも現れていると考えられる。
その一方で、代表的な貯蓄商品である定額生保は失速が続いており、1-6月期には50億ユーロ近くの流出超を記録した。6月には、流出超の勢いはかなり鈍ったものの、専門家らは、家計が長期的な投資をする意欲は低く、今後とも流出入がほぼ均衡で推移すると予測している。