2020年8月4日 編集後記

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ポーランドのドゥダ大統領が今夏の大統領選挙で僅差ながら再選を果たしたことで、同大統領が所属する「法と正義」 が率いる保守政権の支配がいっそう強まった。これに勢いを得た政府は7月下旬、欧州評議会の「女性に対する暴力及び ドメスティック・バイオレンス防止条約」から脱退する方針を表明し、新たな波紋を投じている。筆者は、宗教に近い 妄信的イデオロギーと化したフェミニズムやポリティカルコレクトネスに対しては、できるだけ距離を置きたい人間だ が、その一方で、ここまで確信犯的にポリティカリーインコレクトな政策を矢継ぎ早に打ち出す国を見ると(ポーラン ドだけでなく、お友達のハンガリーもそうだが)、やはり長期に渡った共産主義の毒(これこそ宗教と化した全体主義 イデオロギーの典型だが)が頭にまわってしまった国民は、共産主義を裏返した民族保守主義に転向した後もやはり頭 が毒にやられたままではないのか、と呆れるほかない。戦争や虐殺や差別に満ちた20世紀の体験を経て、人類は少し賢 くなり、宗教やイデオロギーのような愚劣極まりない「大きな物語」からやっと自由になったかと思っていたら、何の ことはない、新たな拠り所を求めて、男尊女卑とか民族主義のような、より愚劣な「小さな物語」へ逆行しつつあるよ うだ。まったく懲りねえなあ…人類。