最近公表された下院特別調査委員会の報告によると、デング熱、チクングニア熱、ジカ熱などの感染症を媒介するヒトスジシマカの国内生息地が拡大しつつある。仏本土では2004年までその生息は確認されていなかったが、今では96県のうち58県まで拡大している。バルカン半島のアルバニアが1980年代初めに経済開放路線に着手し、ヒトスジシマカの幼虫の生息場所となる中古タイヤの貿易を中国と行ったことが原因で、欧州南部諸国に広がり、その後に北上しつつあるとされる。チクングニア熱の仏国内感染件数は2010年には2件だったが、2017年には17件へ増加し、ジカ熱の感染も報告されている。
ヒトスジシマカを公衆衛生への重大なリスクと指摘するこの調査報告は、従来とは大きく異なる対策の必要性を指摘し、地方レベルで、幼虫の生息地となり得る水がよどんでいる場所を対象とする予防プランの作成を提案した。すでに、中古タイヤ廃棄施設の撤去や農業従事者による中古タイヤの利用改善などを通じて成果が出ているという。